祖母の家の椅子
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モスグリーンの柔らかいクッションの入った木製の椅子がある。それは祖母の家の風呂場に近い部屋に置いてある。狭苦しい着替え用の小部屋で、そこには化粧台も置かれている。
僕が祖母の家を思い出すときになぜか最初に思い浮かべるのは、その化粧台の前に置かれた木椅子だった。僕自身はその椅子に対して何か特別の思い出があるわけでもないのに。
だけど幼い頃の僕はその椅子を見て何か不思議なものを感じていた。この椅子は女の人が座るためのものなのだ。僕が生まれるよりも遠い昔、きっと若い頃の祖母や、娘時代の僕の母や、あるいは母の姉がここに座り、髪を梳かして口紅を塗っていたのだろう。女の人はどうしてあの化粧などという面倒なことをするのだろう。
僕は椅子のある部屋で何かを学ぼうとしていた。読み取ろうとしていた。でも、僕にはわからなかった。そして、あの古い木製の椅子だけが今もなぜか鮮明に記憶に残っているのだ。
僕が祖母の家を思い出すときになぜか最初に思い浮かべるのは、その化粧台の前に置かれた木椅子だった。僕自身はその椅子に対して何か特別の思い出があるわけでもないのに。
だけど幼い頃の僕はその椅子を見て何か不思議なものを感じていた。この椅子は女の人が座るためのものなのだ。僕が生まれるよりも遠い昔、きっと若い頃の祖母や、娘時代の僕の母や、あるいは母の姉がここに座り、髪を梳かして口紅を塗っていたのだろう。女の人はどうしてあの化粧などという面倒なことをするのだろう。
僕は椅子のある部屋で何かを学ぼうとしていた。読み取ろうとしていた。でも、僕にはわからなかった。そして、あの古い木製の椅子だけが今もなぜか鮮明に記憶に残っているのだ。
その他
公開:20/05/04 11:26
幼児期の記憶
最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。
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