家族にならない
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「おかえり」
私は、異端だった。
家族も私を見捨てる程に異端だった。友達もできず、子供の頃から精神科に通院していた。多量の薬は眠気をもたらし、私は学校でも家でもほぼ寝て過ごした。勿論、就職なんか出来なかった。やっと見つけたバイト先は長年通った精神科で紹介して貰った。衣食住が与えられた施設で、私はこの人に出逢った。
「ただいま」
柔らかい言葉が返ってくる。帰宅した私を笑顔で出迎える彼。ピンクの花柄の厚手の毛布を頭から被り、抱き付いてくる。
「キライキライダイキライ」
「私もダイキライ」
彼のオデコに軽くキスをすると、そのまま毛布を剥ぎ取り、ミノムシの様に床に転がる。どんなに薬を飲んでも、逆の言葉が出てくるのは治らなかった。眠気だけが増え続ける。
花柄の毛布を剥ぎ取られた彼は、ウサギ柄の毛布を羽ばたかせて私の周りを回る。
キライがスキでスキがキライ。
私は家族を作らない。
私は、異端だった。
家族も私を見捨てる程に異端だった。友達もできず、子供の頃から精神科に通院していた。多量の薬は眠気をもたらし、私は学校でも家でもほぼ寝て過ごした。勿論、就職なんか出来なかった。やっと見つけたバイト先は長年通った精神科で紹介して貰った。衣食住が与えられた施設で、私はこの人に出逢った。
「ただいま」
柔らかい言葉が返ってくる。帰宅した私を笑顔で出迎える彼。ピンクの花柄の厚手の毛布を頭から被り、抱き付いてくる。
「キライキライダイキライ」
「私もダイキライ」
彼のオデコに軽くキスをすると、そのまま毛布を剥ぎ取り、ミノムシの様に床に転がる。どんなに薬を飲んでも、逆の言葉が出てくるのは治らなかった。眠気だけが増え続ける。
花柄の毛布を剥ぎ取られた彼は、ウサギ柄の毛布を羽ばたかせて私の周りを回る。
キライがスキでスキがキライ。
私は家族を作らない。
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公開:20/05/04 10:58
アイコンは壬生野サルさんに描いて頂きました。ありがたや、ありがたや。
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