忘却家族

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タカシは久しぶりに帰ってきた実家のインターホンを押した。
中でピンポーンという音が響く。
十数秒してドアを開けたのは、母親だった。
「ただいま」
とタカシが言うと、母親は怪訝な顔をした。
「えっと、どちら様ですか」
「いや、俺だよ俺。タカシだよ。いくら留学行ってたからってひどいなあ」
タカシは母親の冗談だと思い笑った。
が、どうも様子がおかしい。
「え……。ねえお父さん!」
父親が静かに出てくる。
「どうした?」
「なんか変な人がいるのよ」
「なんですかあなた。帰ってもらえますか。警察呼びますよ」
父親の威圧するような語調と明らかに冗談ではない雰囲気にタカシは後ずさりした。
「す、すみませんでした……」
タカシの目の前でドアは閉められてしまった。

「怖かったわあ。はいタカシ、こっちおいで」
母親は首輪をした黒猫を抱いた。
「そういえばさっきの人、なんでうちのネコの名前知ってたのかしら」
ホラー
公開:20/05/03 13:54
◯◯家族

田坂惇一

ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。

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