二階から目薬

「兄ちゃんが『二階から目薬』って本当にできるのか実験しようぜって言ったから、僕が二階のベランダから下にいる兄ちゃんに目薬をさしたんだ。二十回くらいやったら入ったから、姉ちゃんに自慢したら、ことわざの目薬は本来ぬり薬をさすんだっていわれてさ、兄ちゃんと二人で困っちゃって、じゃあぬり薬を作ろうぜってなったんだけど、作り方がわからなくて。とりあえずプリン容器に目薬を入れて固めちゃえば、固体にはなるだろうって。で、目薬を水で薄めて、あ、だって目薬って高いから」
「うるさい！　なんでこんなことになったんだと聞いてるんだ！」
　へこんだ車と原因の金ダライ、ちらばるゼリー状の物体を指さし、おれは怒鳴った。
「だから今言ってるじゃん。そのあとゼラチンを」
　延々と説明をする息子たちを前に頭を抱える。
　話が回りくどくて頭にはいってこない。
　こういうのをなんていうんだっけ。

　あ、二階から目薬、か。