さよおなら。

「それだとさよならの時にオナラしないといけないじゃん。」
こんなことでも小学生は笑う。転げて笑う。
そんな僕を見て、先生も笑う。
間違ってるのに笑う。
「あーお腹痛い、それじゃあ帰ろうか。さよおなら。」
笑顔で別れる。明日も学校に来たいと思う。
ずっと笑った。先生と二人、保健室で。

卒業式。
行きたくなかった。もう会えなくなるから。
さよおならするのが嫌だから。
「中学に行ったら保健室じゃなくて教室で授業受けるのよ。」
先生は少し泣いていた。先生も悲しいんだ。
次会うときは先生に笑ってもらおう。
さよおならの次は笑ってもらおう。

すごく久々に先生に会った。
すっかりおばあちゃんだ。
おばあちゃんでもお姉さんでも僕の先生。
無口な僕にたくさん話してくれた先生。
今日は僕がたくさん話すよ。
涙が止まらないけど笑顔で話すよ。
次会うときはまた二人で笑って話そうね。

先生、
さよおなら。