哲学家族

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うちの両親は変わっている。代々哲学者の家系にあり、どんな事も徹頭徹尾議論しなければ、気が済まないという面倒臭い性格をしている。

「家族とは?」

夕食を待つ父が言う。これである。普通そんな事に疑問を持つことがあるだろうか。

「まあ、家制度の名残でしょうね」

包丁を片手に母が返す。この父にしてこの母ありである。

「じゃあ、ニーチェは家族じゃないの?」

「にゃー」

ニーチェが泣いた。ニーチェとは我が家の飼い猫である。哲学者の家の猫だからニーチェ。色は灰色である。

「「「うーん」」」

皆が唸った。

「なあ、俺のご飯まだ?」

「「「ちょっとまって」」」

皆が口を揃えて言った。

「お前らは間違いなく家族だよ」

ニーチェはそう口にすると、鯖缶を片手に屋根裏へと消えた。そもそも猫がなぜ喋るのかという深淵の哲学は、神のみぞ知ることである。もっとも、神が死んでいなければの話だが。
その他
公開:20/05/03 05:53
更新:20/05/04 03:10

莎 沙翁( 岐阜 )

平均的な高校生。

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