泣き虫家族
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私の家族は涙腺が緩い。今日も家に帰ると、妹が泣きながら駆けてきた。
「ミホ姉……アキ姉が彼氏と別れたって!」
「え?そう……アキ姉は?」
「まだ帰ってない。私もさっき電話で聞いて」
居間では両親も泣いていた。
「……でもさ、まだ嫁にいかないってことだよな。安心して泣けてきた」
「あなた、こんな時に何を!……情けなくて涙が出るわ」
「あーん、彼氏に友達紹介してもらおうと思ったのにぃ!」
……なんなの?結局皆自分の都合で泣いてるだけじゃない。それでも家族?怒りを通り越して涙が出た。
「ただいま」
「あ、アキ姉!」
アキ姉は泣いていなかった。
「心配かけてゴメン、もう大丈夫」
「偉いぞ、アキ!」
「またいい人現れるわよ……」
「頑張れ!」
皆で抱き合って泣いた。家族がひとつになれた気がした。
しかし、私は見つけてしまった。
アキ姉の涙で濡れたブラウスに付いた、滲んだ血痕を。
「ミホ姉……アキ姉が彼氏と別れたって!」
「え?そう……アキ姉は?」
「まだ帰ってない。私もさっき電話で聞いて」
居間では両親も泣いていた。
「……でもさ、まだ嫁にいかないってことだよな。安心して泣けてきた」
「あなた、こんな時に何を!……情けなくて涙が出るわ」
「あーん、彼氏に友達紹介してもらおうと思ったのにぃ!」
……なんなの?結局皆自分の都合で泣いてるだけじゃない。それでも家族?怒りを通り越して涙が出た。
「ただいま」
「あ、アキ姉!」
アキ姉は泣いていなかった。
「心配かけてゴメン、もう大丈夫」
「偉いぞ、アキ!」
「またいい人現れるわよ……」
「頑張れ!」
皆で抱き合って泣いた。家族がひとつになれた気がした。
しかし、私は見つけてしまった。
アキ姉の涙で濡れたブラウスに付いた、滲んだ血痕を。
その他
公開:20/05/03 04:40
更新:20/05/03 05:33
更新:20/05/03 05:33
◯◯家族
30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。
長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。
Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00
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