詠み人家族

30
23

朝起きて、あくびしながらリビングへ。

「あらおはよう、すぐに朝食できるわよ」

ママの声、無視して席につく私。

「どうしたの?今日は機嫌が悪いのね」
「悩みなら父さん聞くぞ、我が娘」

「バカみたい……」
想いが口をついて出た。

「……その続き早く言ってよ、気になるわ」
「中の句を、さあ中の句を、我が娘」

「……川柳が好きな気持ちはわかるけど、五七五だけの生活、もううんざり!」

「……おい急に何を言うんだ、我が娘」
「パパいつもワンパターンよ、下の句が!」
「言い過ぎよ!謝りなさい、我が娘」
「ママまで……もういい!ねぇ、言葉ってもっと自然に湧き出るもんじゃないの?五七五に拘るのは不自然!伝わるものも伝わらない!」

パパとママ、顔見合わせてこう言った。

「……我が家にも、風が吹いたか自由律」
「いやだから、そういうことじゃないってば!」

句は詠めど、空気は読めず、この家族。
その他
公開:20/05/02 10:48
更新:20/05/02 11:16
◯◯家族

makihide00( 鳥取→東京→福岡 )

30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。

長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。

Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00

株式会社ベルモニー Presents ショートショートコンテスト 入選 「とんでかえる」

隕石家族×ショートショートガーデンコラボ 小惑星賞 「詠み人家族」

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容