たまたま、球タマ家族

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偶然かもしれぬが、我が家は凄腕の投手揃いだ。まあ聞け。

まずは母親。
どストレートの豪速球で繰り出す言葉には、家族の誰もがきりきり舞い。

続く娘は、変幻自在の変化球投手。
中二女子あるあるの気まぐれ・だんまり、かと思えば溢れる笑顔に家族はみんな右往左往。

侮れないのは、ばあさんだ。
ふわりと心に届く超スローボール。何かと尖りがちな家族の会話も、ほんのりした一言で何故かまあるく大団円。

唯一の例外は父親か。
おかしなところに投げては四球・死球の連発だ。「そうじゃない!」と妻に娘に噛みつかれ、がっくり肩を落とす姿はさすがにちょいと痛々しい。

…なに、そう言うお前はどうかって?
ふん、吾輩にはとてつもない魔球があるのだ。

「ちょっとタマ、今はだめ。忙しいの…だめだってば…んもう、タマぁ…」
ぷにぷにぷに。
吾輩の魅惑の肉球に勝てる者などおらぬ。
どうだ、参ったか。
判ったら、撫でれ。
その他
公開:20/05/02 10:45
更新:21/08/26 11:29
◯◯家族 隕石家族 コンテスト #5

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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