メレンゲの気持ち 前編

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スーパーでは軒並み小麦粉や甘味料の類いが売り切れ。人は家にこもりっきりになると、スイーツをつくりたくなるらしい。連休中に時間をもてあます、とある一家の主(中年男子)もその一人だった。家族の好感度を上げたい下心にも突き動かされていた。

手づくりお菓子の肝はメレンゲ。卵白を泡立ててアワアワにしてスポンジケーキをフワフワにするあれだ。メレンゲがうまくいかなければケーキはぺしゃんこになる。

慣れぬ手つきで不器用に卵を割る主。卵白オンリーで泡立てなきゃならないところが、ちょっと卵黄が混ざっちゃったけど「まあ、いいか」。

この軽はずみな初動が命取りになる。

泡立て器でいくら泡立てても泡立たず、卵白は卵白のまま。30分、40分。。。さらっとした液体がボウルに渦巻くだけ。

焦ってググって泡立ちの「秘策」とされる塩を投入しても、無駄な抵抗と知りつつ砂糖を増量しても、事態は好転しないのだった。
その他
公開:20/05/02 21:00
更新:20/05/05 00:27

ふみなか( 東京 )

40代半ばの会社員。家族は妻、中3息子、小6娘。つらつらと文章をつづるのが好きです。読んでいただけたら嬉しいです。

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