合コンで役立つ掌

川端康成の短編集に『掌の小説』がある。
女心を理解したければ、この本を読めと教えていただいた。

ある女性に、ある一編を朗読した。
彼女は泣いた。
そっと寄り添い、そっと抱きしめた。

ある女性に、ある一編を朗読した。
彼女は去った。
「そういうの、本当に気持ち悪いから、やめた方がいいわよ」と言い残して。

女心とは、難しい。
合コンで、この話をすると受けがいい。
男は、面白そう、読んでみようと寄ってくる。

女は、そんなのでわかるわけないと去っていく。
掌を返すように、冷たい態度で。