カモミールのタトゥー

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ここは6次元のハーブガーデン。心が押し潰された人だけが招かれる場所。ウェルカムドリンクはカモミールティー。毎日夕陽の時間に神から選ばれし「カモミールの房」だけで作られる優しい味。着席した客人はその薄い浅葱色した透明なお茶をゆっくりと味わって心の苦しみから解放されていく。アブラムシが多くついている「カモミールの房」だったらお茶の中に黒く点々と浮遊するのでスプーンで掬いとって排除するのが難儀した。飲み終わったカモミールの房はそのままブローチにしたり着ているものにプリント出来るので今日の日の思い出としてお持ち帰りする客人が多くいた。一通り6次元のハーブガーデンの説明を聞いたミイナは左薬指の指輪と共にカモミールを薬指に埋め込む事を望んだ。契約書にサインをして特殊な樹脂で塗り固め死んだ婚約者と家族の契りを結んだ。放射状に開いた白い花は薄く半透明でとても美しかった。ミイナはそれを見てリラックスした。
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公開:20/05/03 00:07
更新:20/05/03 18:31

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