老紳士

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いつもの道をいつものように歩く。

決まった時間に電車に乗り、決まった時間に会社に着く。
いつも通り業務をする。
個別の事象は微妙に違う。
けれど、そんなことは関係ない。

いつも通りの日々である。

同じことの繰り返し。

いつも通り帰路につく。

ふと、嫌になる。
なんだこの日常は。
わたしは一体、何をしているんだ。
何を目指しているんだ。

しかし、誰も答えてはくれない。
自分で答えを見つける?
そんな「それっぽいこと」なんて求めていない。

鬱蒼とした気分。
そのまま布団に入る。

翌朝、気分は最悪だ。
昨日余計なことを考えてしまったせいだ。

それでもいつも通り、会社へ向かう。

駅前でシルクハットの老紳士が立っている。
誰だろう?
こんな場違いな。

目があった。
紳士はニコリと笑って言った。

「いつものお店でいつものコーヒーを買いなさい。」

そうか、それでいいのか。
その他
公開:20/05/02 21:48

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