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僕が喫茶店『異世界』で働き始めて一年が経つ。
マスター(72歳)の淹れるコーヒーは絶品だ。
ただ入れ歯を無くしたらしく、出会って以来ずっとフガフガ言っている。
「フガフガ!(カプチーノできたよ)」
解読できる僕は、お客さんから《魔法使い》と呼ばれている。
客入りはほどほどだ。多くもないし、少なくもない。
おかげで僕はゆっくり働くことができる。
マスターの人柄もあり、店内はおだやかな雰囲気に包まれている。
僕はここで働く時間が何より好きだ。
そんなある日、事件は起きた。
コーヒーポットの掃除をしていて、僕は見つけてしまった。
マスターの口にいたはずの〝それ〟を。
あわてて、先ほど給仕したお客さんに目をやる。
「やっぱりここのコーヒーは、特別な味がするよ」
「フガフガ!(ありがとうございます)」
悩んだ末に、僕は〝それ〟を元通りポットの底に沈めておいた。
誰にも言えない、僕だけの秘密だ。
マスター(72歳)の淹れるコーヒーは絶品だ。
ただ入れ歯を無くしたらしく、出会って以来ずっとフガフガ言っている。
「フガフガ!(カプチーノできたよ)」
解読できる僕は、お客さんから《魔法使い》と呼ばれている。
客入りはほどほどだ。多くもないし、少なくもない。
おかげで僕はゆっくり働くことができる。
マスターの人柄もあり、店内はおだやかな雰囲気に包まれている。
僕はここで働く時間が何より好きだ。
そんなある日、事件は起きた。
コーヒーポットの掃除をしていて、僕は見つけてしまった。
マスターの口にいたはずの〝それ〟を。
あわてて、先ほど給仕したお客さんに目をやる。
「やっぱりここのコーヒーは、特別な味がするよ」
「フガフガ!(ありがとうございます)」
悩んだ末に、僕は〝それ〟を元通りポットの底に沈めておいた。
誰にも言えない、僕だけの秘密だ。
ファンタジー
公開:20/05/02 16:37
更新:20/05/02 20:09
更新:20/05/02 20:09
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