日替わり家族

目を覚ますと真っ白な天井が見える。
どうやら今回は動けないらしい。

それでも前回みたいにいきなり走らされることはなさそうなので安心だ。

前回は本当に大変だった。
目を覚ましたら子供のシマウマの姿になっていてライオンに追いかけられたのである。
あの時は父さんが助けてくれたんだっけ。

カンガルーの姿になっていて母親の袋の中に入っていたこともあった。
あの時はとても温かかった。

ツバメになっていて大きな口を開けてエサをもらったこともあった。
あんまり美味しくなかったけれど嬉しかった。

「早く来て目を覚ましたわよ」

懐かしい声が聞こえてくる。

「奇跡だ」

おれの目からは温かいものが溢れてきた。

とうとう帰ってきたんだ。

父さん、母さん喋れないから人工呼吸器を早く外してくれよ。