グリーン家族

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「じゃ、ベロを出しなさい」

初対面である母からの一言に唖然とする彼の隣で、私は懐かしさに打ちひしがれていた。

母は何かにつけて、私に舌を出させた。舌の色で、幸せに生きてるかが分かるという。小さい頃は面白がってそんな子供騙しにも付き合っていたが…。

「これでいいすか?」

え、緑色!私の表情を見て母は笑った。

「あなたも見えるようになったのね。この色なら合格。じゃ次は、白目むいて」

気を良くした彼が思い切り変顔をかますと、黙っていた父が手で制した。

「いや、君じゃなくて」

私?父は母と目を合わせてから、楽しそうに頷いてきた。私が頼まれもしない口を開けつつ白目を決めると、彼が叫び声を上げた。

「み、みどりー!」

大笑いした両親の顔が、セピア色の結婚写真に重なった。


半年後のバージンロード。彼の腕にたどり着き振り向いた。私も同じように笑えるかな。

せーっの、あっかんべー!
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公開:20/05/01 19:16

糸太

400字って面白いですね。もっと上手く詰め込めるよう、日々精進しております。

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