ケチャップ家族

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『成人おめでとう』そうケチャップで書かれたオムライスをスプーンで割ると、ケチャップライスの爽やかな香りがふんわり溢れた。お祝いのたびに母がオムライスを作るので、家族皆の大切な思い出が、この温かな香りで繋がっていた。
「パパ、ママ。今まで育ててくれてありがとう。実は私、狸なの」
成人した娘が、人の姿から狸に変わった。驚いた父が言う。
「たまげた。実は私たちは狐なんだ」父が狐に変わった。「捨てられていたお前を、人のフリをして育ててやったんだ」
すると今度は母が申し訳なさそうに言った。
「ごめんなさい。私狐じゃなくて猫なの」母が猫になる。「狐を化かすつもりが、この子を育てるうちに情が湧いちゃって」
「じゃあ私たちは、狐と猫と狸と犬の4匹家族だったわけか」
隅で大人しく聞いていた飼い犬が口を開いた。
「実は私も…あの時は助けていただきまして…」犬は鶴になった。
「どうりで…よく卵産む犬だと思った」
ファンタジー
公開:20/05/02 06:53
更新:20/05/02 07:41
〇〇家族

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