えんぴつ家族

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西日が煌々と僕らの住処を照らす頃に、裕子ちゃんは帰ってくる。

裕子ちゃんと僕が初めて出会った時、裕子ちゃんは目を輝かせながら僕を見つめてくれた。そしてお父さんに懇願し、僕を迎え入れてくれたのだ。

今日は僕の弟が、裕子ちゃんと学校へ行ってきた。きちんと役目を果たせているだろうか。少し心配である。

ガチャ

扉の開く音と同時に鼻歌交じりで裕子ちゃんが帰ってきた。今日は機嫌がいいらしい。
ランドセルを開け、筆箱を取り出す。
僕は弟に、おかえりを言う準備をする。

しかし、開いた筆箱の中には弟の姿はなかった。代わりに見知らぬ子がいる。

裕子ちゃんはその子を取りだし、うっとりと眺めていた。

そして優しい手つきで僕らの住処に入れた。その子は僕の隣に来て、片方の口角を上げた。



僕は全身の炭素を奮い立たせ、動力に変える。
何度も上下に動く。動く。動く。

住処は真っ赤な炎に包まれた。
ファンタジー
公開:20/05/02 05:06
更新:20/05/02 05:07

かぼちゃっぴー

初めまして。
皆さんのあたたかい作品に感銘を受け、自分も執筆してみようと思い、始めてみました。

色々な方の意見が聞きたいので、良いことも悪いことも、率直な意見として聞かせて貰えましたら嬉しいです。

よろしくお願いいたします。

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