猿蟹家族

彼女が初めて俺の部屋にきた。ベッドに座る彼女にドキドキしていた。

そこに親父が入ってきた。俺は部屋から出て行くようお願いしたが、彼女が俺に釣り合う女性なのか判断すると言って聞かない。仕方が無く父に彼女を紹介し、俺は部屋を出た。

居間にいくと母が花を活けていた。彼女と父を二人きりにしたと言うと、母は驚きの顔をした。

「早く戻りなさい！お父さんの昔のあだ名はサルよ。彼女が危ないわ」

俺は母の生け花用の鋏を二つ手に取り、横走りで部屋に急いだ。

ドアを開けると父と彼女の姿はなく、ベッドの掛け布団が不自然に膨らんでいた。俺はその布団を手に持っている鋏でバラバラに切り刻んだ。すると、その中で裸の父が体中湿疹が出ている状態でうずくまって苦しんでいた。母はその姿を見てため息をついた。

「あーあ、彼女食べられちゃったね」

そういえば、父はピーナッツアレルギーだった。