フット・イン・ザ・ドア

2
4

フットインザドア計画は最終段階。
俺は笑顔でドアを叩いた。
一ヶ月前、善良そうな家族が古い屋敷に越してきた。町の野良猫を束ねる俺は子分猫を集め作戦を話した。野良生活はうんざりだ。あの家族に俺達を養ってもらおうじゃないかと。
仲間の中で一番小さく可愛い猫が玄関のドアを叩く。ドアを開けた子供が猫を抱き上げた。しばらく親と相談した後、まんまと潜入に成功した。新しい家族として受け入れられたのだ。
翌日、その次に可愛い猫がドアを叩く。先に潜入した猫の加勢を借りて、2匹目の潜入にも成功。
最初に小さな願いを叶えさせると、次の願いを大きくしても断られないという心理テクニックだ。
こうして30匹を屋敷に送りこみ、最後はいよいよ俺だ。開いたドアから人間が顔を出した。俺は前足をドアに挟み、老戦士のような顔を綻ばせた。
予想外の冷ややかな視線。
「ごめんな。昨日の猫で最後にしようと決めたんだ」
にゃんてこった!
ファンタジー
公開:20/05/02 02:17
更新:20/05/02 02:40

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容