見る家族

関東ローカルのわが家。テレビに見られている。
私と母が、スマホをつまみに、女子トーク。そこへ父が、仕事から帰ってきた。父が、見咎めるように言う。
「かあさん。また、テレビつけっぱなし。電気代、もったいないじゃない」
「せっかく、テレビに見られてるのに。視聴率で、稼いだらいいじゃない」
と母。
「え？誰が」
「私は、数字、持ってないわよ」
「お、おれ？稼ぐのは、仕事だけで、勘弁してくれよ。足りてるだろ？」
「ええ、十分。だから、新色の口紅買ったわよ？」
「え？こないだ、千円のプラモ、買うの激オコ、されたばかりなんですけど」
テレビのスピーカーから、チャリンチャリン、音がする。おそらく、父への同情票と、母への賞讃票。視聴者からの、おひねりの音だ。
母は、心得ている。

さすが、わが家の数字の大黒柱。