食べるメロディ

いつの時からか、音楽は耳で聞くものではなく、食べて味わうものになった。
飴みたいに舐める人もいるし、骨付き肉にかぶりつくように食らう人もいる。
アーティストは調理人になって、ライブ会場は食堂になった。
合唱コンクールは大食い大会に。
ハミングはつまみ食いに。
CDは携帯食に。
一昔前からしたら考えられない。
世の有様は物凄く大きく様変わりしたようだが、実際はそうでもない。
生活という点では別段何も変わっていない。
というのも、食事は口で食べるのではなく、耳で聞いて味わうようになったからだ。
調理人はアーティストに、食堂はライブ会場に、大食い大会は合唱コンクールに、………何も変わっていない。