哀愁のカルボナーラ

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「お待たせ〜、パスタできたよお」
「おうサンキュー。腹減ったあ」
男は皿を抱え込み、勢いよく口に押し込んだ。
「●×△#☆〜ッ」
「ん?どしたの?」
目を白黒させる男を、女は怪訝な表情で見つめた。
「これ…塩辛くない…?」
「え?そうかなあ。あ、パスタ茹でる時ちょっとお塩入れすぎたかも」
ちょっと?とてもそんなレベルではないが、男はそれ以上聞かないことにした。
「ねえ、何でカルボナーラに塩昆布入ってんの…?」
「茹でる時にお塩なくなっちゃったから、かわりに入れた〜♪」
食卓塩の瓶には、まだ半分ほど塩が残っていたはずだ。男は絶望感に搦めとられながら、それでも最後の一本まで胃に送り込んだ。
「コーヒー煎れるね♡」
「今日は甘めに頼む…」
彼女はにっこり笑った。
出されたコーヒーを一口飲んだ男は、恐る恐る彼女に尋ねた。
「砂糖…入れた?」
「あ、お砂糖切れてたの。だからコーラ飴入れといた♪」
その他
公開:20/05/01 12:35
更新:20/05/01 19:52
3つの要素のうち 2つまでが実話 ①瓶半分の塩でパスタを茹でる ②洋風パスタに塩昆布 ③コーヒーにコーラ飴 念のために言うけど ワタシがやったんじゃない 10101298さんからの 『不味い話』のお題

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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