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「はーい、みなさん一列に並んでくださーい」
先生の声に従うように、子供たちが横一列に並ぶ。
「今日は流星群の日でーす。みんな、かけっこの準備はいいですか?」
「はーい!」
いっせいに子供たちが手をあげる。先生が、時計を確認する。かちり、と秒針が音を立てた。
「じゃあ、準備ができた人からねー。せーの」
ぱんっ。
わぁっとくもの子を散らすように、子供たちがいっせいに駆け出していく。その軌跡は夜空に、すいすいと光となって輝いた。

「お母さん、見て!流れ星!」
「あら、本当。きれいねぇ」
そのうちのひとつが、すぅっと長く尾を引いて消えていく。その消えていく光に向かって、親子は静かに祈りを捧げた。

その頃の夜空。

あちこちに散らばって行った子供たちを集めながら、先生がそのうちのひとりの子供の異変に気付いて微笑む。

「あらあら、こんなに長い糸屑をつけて。どこまで引っ張ったんだろうねぇ」
公開:20/04/30 13:32
更新:20/04/30 15:05

ささらい りく

簓井 陸(ささらい りく)

気まぐれに文字を書いています。
ファンタジックな文章が好き。

400字の世界を旅したい、そういう人間の形をしたなにかです。

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