住人ガチャ

突然だが、俺はガチャ運がいい。ソシャゲでは必ず推しをゲットしている。

先週、俺が引っ越したマンションは少し変わっている。毎月「住人ガチャ」が行われるのだ。住人はもちろん、隣人も選べる。そして今日はその住人ガチャの日だ。やり方はガチャポンと同じで、カプセルの中に住人の名前が書かれている。俺は管理人室のガチャを回した。がしゃん。
「おっ、金色じゃないか」
管理人さんが弾んだ声をあげる。そこには、狙い通り会社の気になる子の名前があった。やった。

数日後、彼女が隣に引っ越してきた。さらに数日が経ったある日、隣から話し声が聞こえてきた。
「隣、あの松本くんなの？」
「しっ、声が大きいよ」
俺は咄嗟に聞き耳を立てた。
「あの松本くんねえ…」
「そうなの」
俺はさらに耳を澄ませて、愕然とした。
「あんた本当ガチャ運ないね。もう一回引っ越したら？」
「そうね。だってあの人運だけの人だもん。中身ないし」