マッチョな鏡

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「あなたが一番この家の中で美しい!」
「いや、世界一美しい!いやいや、宇宙一!」
朝から私はこの年季の入った大きな鏡にひたすら声援を浴びせている。

完全に怪しい女。

けど、この鏡は本当に宇宙一なのだから仕方ない…


3年前の春、私は北海道から上京して、ギリギリ「東京」と呼べるこの町で一人暮らしを始めた。
アパートは駅から3分。家賃も相場より安かったし、なかなかの掘り出し物件だと思って即決した。

職場は東京の真ん中で、通勤は人間洗濯機みたいな電車で1時間以上はかかる。
正確にはかかるはずだったか…

この宇宙一の鏡と出会わなければ。

話を鏡に戻すと…
実はこの鏡には特別な力がある。
私が始めにお見せした奇行は、その儀式みたいなもの。
あれがないと鏡はどこでもドア化しない。私はこの鏡のお陰で人間洗濯機の中の靴下の様にならなくて済んでるってこと。

それでは、本日も行って参ります。
その他
公開:20/04/30 08:54
更新:20/04/30 08:57

子どもの頃、家にあった海外の絵本の匂いが嫌いで本を読まずに生きてきました。
今もそんなに読みませんが、本は好きになりました。

コメントいただけたら喜びます。
よろしくお願いします。

 

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