炭酸家族

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「いただきます。」その言葉のあとすぐに左側から「シュッ」と音がする。父が直ぐさまそれを一滴も逃さないという勢いで口元に通す。きっとそれほどの物なのだろう。子供のわたしには知ることすら叶わない。母もいつの間にか喉に通していた。二人とも楽しそう。
お風呂に入る。今日は妹より私が先に上がった。「そういえば...」グラスを二つ用意した。しばらくして妹が現れた。手にグラスを持たせる。わたしと彼女のグラスに透明な液体と上昇する小さな光が注がれた。コツンと音を立てた後、それは私たちの喉を通っていった。私たちは少しだけ背伸びをした。舌に残る甘味と共に。
その他
公開:20/04/30 00:28

なつのこ

論理的思考をもつ空想好き。
 

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