夢見る家族　～ベッド・ダイバー～

息子が進路で悩んでいる。夫は国立大学に進ませようとしているが本人は乗り気ではない。
息子が将来何になりたいのかを知るべく、私は潜夢服を着込むと息子のベッドに飛び込んだ。
布団を潜っていくと奥底に息子の夢が隠されてあった。
『小説家になりたい』

その事を夜、夫にも伝えた。
すると夫は息子のベッドに昔の日記を放り込んだ。布団の中に沈み込む重みに眠る息子は苦しそうにしている。
夫は昔、小説家を目指していた。しかし現実の壁に阻まれ、安定の道を選んだ。
その体験を今、夢に見ているのだろう。

「父さん、僕は小説家になりたい」
翌朝、息子が夫にはっきりとそう告げた。
夫は渋い顔を浮かべるも「好きにしろ」とだけ答えた。
二人が出かけた後、私は夫の日記を引き上げるべく息子の布団に再び潜った。
奥底に輝くものを見つけ、手に取ってみると『夢を叶えろ』書かれた手紙を見つけた。
まったく、素直じゃないんだから…