おなかいっぱいの幸せ

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 京都で肉屋をしている。親が肉屋だから私も肉屋だ。そんなものだ。うちのコロッケはマズイと評判だ。だからどうした。

 親の代のコロッケは旨かったらしい。私もそれを食べて育った訳だが、興味がない事に興味を示すなんてそれはまるでドン・キホーテ笑っちゃう。



 親は私に興味を持たなかった。だから私が興味を示さなくても自然の摂理でWin-Winよ。

 私は全てを覚えている。日々の天候から近所のコンビニ店員の名前まで、生まれ落ちたその時から今の今までの全ての事を。

 コロッケの味はアルミホイルをモルタルで包んだようなそんな感じ。小学校の運動会、グラウンドで転んだ時に口に入った砂の味の方が美味しかった。お昼、家族に囲まれ笑う友人達を眺めながら私は1人コロッケを蟻にあげながら笑っちゃった。

 そんな私の作るコロッケ、いかがどす?
その他
公開:20/04/30 16:23

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