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窓枠が茶色だと初めて知った。
春、冬服を全て閉まってやった。作業中繊維や埃が舞って舞ってどうしようもないので私もそれに同調して舞った。どこからかピアノの調べが聴こえてきたのでそれに合わせてワルツを踊った。そこで気付いた事はこの部屋は踊るには狭いという事だ。そりゃ手が窓枠に当たるわ。
赤く滲んだ右手の甲を左手で押さえながら恨み節を唱えるもそれを聞く耳を持ってないからなこの無機物は。般若の顔を作るも見る目も持ってないのさこの無機物は。
ーそれはそれは茶色だった。美しい茶色だった。木目の年輪も美しかった。樹齢に感慨を覚えたのは初めて私のバージンあなたにあげるー
手の甲に食い込んだ窓枠が私に告げる。
「君にこの部屋は小さ過ぎる。別れるのは寂しいけれどはみ出したらそれは転調」
私は背中を押されるまま生まれて初めてはみ出してみた。春風が暖かいと初めて知った。
春、冬服を全て閉まってやった。作業中繊維や埃が舞って舞ってどうしようもないので私もそれに同調して舞った。どこからかピアノの調べが聴こえてきたのでそれに合わせてワルツを踊った。そこで気付いた事はこの部屋は踊るには狭いという事だ。そりゃ手が窓枠に当たるわ。
赤く滲んだ右手の甲を左手で押さえながら恨み節を唱えるもそれを聞く耳を持ってないからなこの無機物は。般若の顔を作るも見る目も持ってないのさこの無機物は。
ーそれはそれは茶色だった。美しい茶色だった。木目の年輪も美しかった。樹齢に感慨を覚えたのは初めて私のバージンあなたにあげるー
手の甲に食い込んだ窓枠が私に告げる。
「君にこの部屋は小さ過ぎる。別れるのは寂しいけれどはみ出したらそれは転調」
私は背中を押されるまま生まれて初めてはみ出してみた。春風が暖かいと初めて知った。
青春
公開:20/04/29 18:26
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