忍び

「忍び」は、普段めだたないのが仕事だ。
その中でも極めつけの「忍び」が、ガラスの水槽と呼ばれているものだった。
普段は、ごく普通に金魚が泳ぐ水槽だが、大きさや形は変幻自在あやつれる。
ガラスの水槽は、とある戦国武将につかえていた。
ある夜、野営している敵に奇襲攻撃を仕掛けることとなった。水槽は敵陣の上空にそっと忍び寄り、超巨大になったその時、水槽の底をカパッと開けた。水はナイアガラの滝のように敵陣を襲った。そのまま溺死するものがほとんどだった。弱った敵陣を一気に攻めて主(あるじ)は勝利した。
また、ある戦では、夜中に空(から)の水槽からタコの脚のようにホースを伸ばして、敵陣の水がめや井戸から水という水を水槽に吸い上げた。水がすべてなくなった敵は間もなく降参した。
ただし、鉄砲に弱い。万一、水槽のガラスに弾が当たったら割れてしまう。水が流れっぱなしとなってしまう。ガラスは再生できない・・・。