野球家族
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「ユカ!花岡君!」
母の声が響く。私は慌ててリビングへと駆けおりた。
花岡君はプロ野球選手。そして、私の彼氏。地元球団シャークスの中継ぎ投手だ。
「七回裏、同点で二死満塁。打者はラビッツの主砲……」
「おい、静かにしてくれ」
父が母の言葉を遮る。
「お父さんもシャークスファンになればいいのに」
「バカ言え、オレはずっとラビッツ一筋。今さら変えられるか」
「でも、地元だし」
「球団が勝手に移転してきたんだろうが……オレは認めんぞ」
父の何気ない言葉が胸に刺さる。父は私の交際をよく思っていない。「そんな一軍半の選手、後々苦労するぞ」と母に言っていたらしい。
『花岡、投げました!……空振り三振!』
「キャー!」
「クソッ!」
様々な声がリビングに重なる。
「……勘弁してくれ……認めざるを得なくなる」
父の呟きを聞き逃さなかった私は、テレビの中の花岡君同様、小さくガッツポーズした。
母の声が響く。私は慌ててリビングへと駆けおりた。
花岡君はプロ野球選手。そして、私の彼氏。地元球団シャークスの中継ぎ投手だ。
「七回裏、同点で二死満塁。打者はラビッツの主砲……」
「おい、静かにしてくれ」
父が母の言葉を遮る。
「お父さんもシャークスファンになればいいのに」
「バカ言え、オレはずっとラビッツ一筋。今さら変えられるか」
「でも、地元だし」
「球団が勝手に移転してきたんだろうが……オレは認めんぞ」
父の何気ない言葉が胸に刺さる。父は私の交際をよく思っていない。「そんな一軍半の選手、後々苦労するぞ」と母に言っていたらしい。
『花岡、投げました!……空振り三振!』
「キャー!」
「クソッ!」
様々な声がリビングに重なる。
「……勘弁してくれ……認めざるを得なくなる」
父の呟きを聞き逃さなかった私は、テレビの中の花岡君同様、小さくガッツポーズした。
その他
公開:20/04/29 12:30
◯◯家族
30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。
長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。
Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00
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