酸欠家族

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酸素が減ってきた。
『個室潜水艦で家族水入らず』という逆説的なツアー。深海で孤立した今、参加したことが悔やまれる。提案した僕を責め続けていた3人ももう静かになっていた。ごめん、仲良し家族に戻りたかっただけなんだ…。
「今までありがとう」
朦朧とした頭が言った。すると、ありがとう、楽しかった、ごめんね。皆が素直な想いを語った。
もうダメだと思った刹那、ハッチが開きツアー担当が顔を見せた。潜水艦から息絶え絶えに這い出る。
「死ぬかと思った。訴えてやる!」
「何言ってるんです。潜水艦は沈んじゃいないし、酸素を減らしたのもシナリオですよ。見えないけど大切なものがわかったのでは?」
担当が悪戯っぽく笑った。
(我が家はもう形だけ。お互い必要じゃないんです)
担当に言った言葉を思い出した。まんまとはめられた...。
お互いを吸い込むように皆が思い切り息を吸い込む。その顔は呼吸のたびに輝いていった。
ファンタジー
公開:20/04/29 10:23

十六夜博士

ショートショートを中心に、色々投稿しています。
よろしくお願いします。

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