ビビり家族

「急に太陽が沈まなくなったらどうしよう！」
　お父さんがそう夕日に向かって叫んだ。
　夕日に向かって叫ぶことって大体太陽とは無関係なことが相場なのに。
　何でそれが相場なのかは分からないけども。
　そんなお父さんの台詞に対して、お母さんは、
「日照りの悪魔だー！」
　と言ってその場にしゃがみ込んでしまった。
　いやもう夕日なんだから、そこまでの日照りにはならないだろうに。
　僕の家族は僕以外ビビり家族で、どんな小さなことも気になったらビビってしまう。
　今は夕日を、固唾を飲んで見守っている時間。
　夕日ってもっと清々しいものでは？
　勿論、夕日は沈むもので、完全に沈みきった太陽を見たお父さんとお母さんは、
「「暗くなった！　怖い！」」
　と言って、急いで家中の電気を付けに行った。