わるぐちさま

僕の町には”わるぐちさま”って神様がいる。その神様に「○○に罰が当たりますように」って願うと、本当に罰が当たるんだ。
わるぐちさまの凄いところは「○○が転んで怪我をしますように」と具体的に願うと、それを本当に叶えてくれる事だ。
そのあまりの凄さに皆、わるぐちさまにお願いしない。

それなのに夏彦の奴、面白がって「柊が落ちた物を食べて腹を壊しますように」って願いやがった。
数日後、僕は本当に落ちた物を食べて腹を壊した。箸でつかみ損ねただけでノロウイルスに感染した。
余りに腹が立ったので僕はわるぐちさまに「夏彦が死ぬほど痛い目に遭いますように」って願った。
夏彦！自業自得だぞ！

週明けの月曜日、夏彦は学校に来なかった。
通り魔に刺され、意識不明の重体に陥っているらしい。
その夏彦は救急車の中で「柊が同じ目に遭いますように」って呟いたらしい。
先に退院した夏彦は僕に呟いた。「自業自得だぞ」と。