日常に潜む罠

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 日常には俺を陥れようとする罠が、あらゆるところに潜んでいる。

 ある朝、目が覚めると自室の時計は五時二十分を指していた。八時までに家を出れば会社に間に合うので再び寝て目覚めると、変わらず五時二十分で飛び起きた。

 ある日、会社で急に腹の具合が悪くなってトイレに駆け込んだ。早退して家の冷蔵庫の牛乳パックをみると、二週間前の消費期限日が記されていた。

 ある日、会社からの帰宅途中。突然背中に鋭い痛みが走って振り向くと、数日前に振った女が俺にくっつくように立っていた。憎しみが込められたその刃からは、赤黒い血が地面に滴り落ちる。

 地面にべったりと這いつくばる俺を、道行く人々が憐れむように眺めている。まるで罠にかかってもがくネズミでも見ているように。しかし違う。俺はただ、自分で仕掛けた罠に、自分が引っかかってしまっただけなのだ。俺を陥れたのは、他でもない俺自身だった。
その他
公開:20/04/28 17:16
更新:20/04/28 17:30

秋村ふみ( 青森県 )

300文字という限られた空間で、自分なりのモノガタリを描かせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

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