お袋の味

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 お腹を空かせた青年。裏路地をふらふらしていると、『お袋の味』と暖簾を掲げた屋台があった。
「おお、丁度いいところに」
「いらっしゃい!」
 屋台に並んでいるのは肉ばかり。妙だな、と思いながらも青年は席に着いた。
「おすすめでお願いします! お腹ペコペコで今すぐ食べたいんですよ」
「あいよ!」
 鉄板に次々が乗せられる。肉が焼けるいい香りが鼻をつく。口内に自然とよだれが溢れてきた。
「はい、お袋のカルビ風!」
「カルビ『風』?」
「ええ、流石に本物使うわけにはいかないですからねぇ」
 早速カルビを口に運んだ。肉そのものは薄味で、タレと刻みネギが引き立てている。変わった味付けだが、食べやすく、箸が進む。
 青年は追加オーダーしようとしてメニュー表を閲覧する。それと同時に、顔からみるみる生気が抜けていった。
『お袋のベロ風』『お袋の胆風』『お袋の腸風』『お袋の太股風』『お袋の……
ファンタジー
公開:20/04/28 16:13

ゆぅる( 東京 )

お立ち寄りありがとうございます。ショートショート初心者です。
拙いなりに文章の面白さを追求していきたいと思って日々研究しています。
よろしくお願いします!

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