ランドセル家族

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「今日からあんたらの机はランドセルや」
突然休校になった私達の先生になった母の右手には、弟の国語の教科書が握られていた。

母はとにかく単純で、読んだ物語の中に必ず住みつく。
もちろん家族を巻き込んで。

教科書には、日本から寄付された古いランドセルをもらったアフガニスタンの子供達が、建物もない広場に通い、学ぶ姿が記されていたそうだ。
ノートも鉛筆もない。
その場所でランドセルは机となり、子供達の為大活躍する。
熱弁する母を嗚咽が邪魔をする。

当分私と弟はランドセルの上で100点の字を書く事はもちろん、スマホやゲームなどの現代文明とは無縁の生活を強いられ、彼らの気持ちを学ぶこととなる。

買い物に出かけるという母がランドセルを背負って行かないだけ良しとするしかない。

母が乗り込んだ真っ赤な外車を見送りながらしかし私は
「ママは何を学んだん?」
と思わずにはいられない。
その他
公開:20/04/28 15:42
更新:20/04/28 16:22

ほんだのほ

◉「隕石家族」✖︎ショートショートガーデン コラボ
で、【白ネギ家族】が巨大隕石賞を受賞。

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日時:9月23日(祝木)11時~12時
場所:日本近代文学館
朗読出演者:10名(5名は高校生)
観覧者:最大30名(会場の定員は120名)
入場料:無料
主催:せたがや朗読教室プチプラージュ 
目的:10代~20代の朗読活動を応援するため
朗読形態:全文をそのまま朗読(1人2作品)
※公演が中止の場合は動画または録音によりYouTube公開


皆さんの心に少しでも引っかかるような作品を届けたいです⭐︎

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