おやすみ前のマッサージ

「横になって。明日おやすみでしょ？」

休みの前の日になると、いつも風呂上がりに妻はマッサージをしてくれる。

部屋を暗くして横になると、アイマスクをしてヒーリングミュージックをかけ始める。

そして頭から首にかけてゆっくりと…

優しさと強さの入り混じったしばしの間、私は陰鬱とした日常を忘れることができるのだ。


瞑想のように妻の指先に感覚を集中していくと、次第に全てが溶けていくような感覚に陥っていく…


静かに、静かに。

ただただ流れる時間に身を任せ、心と身体を預けていくと、最後は決まって眠ってしまうのだ。


「なぁ、泣かないでくれよ。オレはこうやって眠りに落ちていくのがなにより幸せだったんだ。」

「お前の手に包まれている間、まるで天国にいるような気持ちになれたんだよ。」

「今までありがとな…おやすみ。」