藤紫

昔使っていたデジカメが出てきた。

一眼を買ってから全く使わなくなって、机の奥に封印されたいたものだ。
充電器もセットだ。

何か入っているだろうか。そう思い、充電してみる。

データを見てみると、学生時代、最後に行った合宿の画像と、当時付き合っていた女性の画像が数枚入っていた。

パソコンに取り込み忘れたのだろうか。懐かしく思う。
パソコンにつなぎ同期する。

部屋のかたずけを済ませた私は、せっかく天気も良いので等々力渓谷へ散歩へ行った。
このごろは忙しかった。ゆるりと過ごす時間が欲しかったのだ。

木々の中の紫色が目を引く。もうそんな時期か。

そういえば彼女は藤の花が好きだった。
当時あまり興味はなかったが、一緒に見に行った。きれいだなとは感じたけれど、特別何かを感じたわけではなかった。

しかし今はなんとも美しく、そして儚く見える。