春よ…来い！

高校３年生。今年から受験戦争が始まる。
それなのに僕はウキウキが止まらない。
何故なら、憧れの可憐さんと同じクラスになれたばかりか、隣の席に座る事が出来たんだ。
授業中も休み時間もちらちらと彼女の横顔を盗み見る。
「そんなに私の事が気になる？」
悪戯っぽく彼女に指摘された。
「ごめん…キモかったよね…」
「そうじゃなくて、隣同士なんだから普通に話そうよ」
彼女の笑顔が凄く眩しくて、普通に話せる事が嬉しくて、僕は学校に行く事が凄く楽しみになった。

「え～、皆も知っての通り、今新種のウイルスのせいで人と人の距離を２m空ける事が最良とされている。お前ら、席を離せ。あとマスクは絶対着用だぞ」

教師の無情な一言により、彼女の存在が遠くなった。その御尊顔を拝む事も難しくなった。
それどころか今は休校で会う事も出来なくなった。
畜生！新種のウイルス早く終息してくれ！
僕達の時間は限られているんだぞ！