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母さんがキャベツの千切りをしている時に包丁で指を切ってしまった。
「キャーー!」家中に叫び声が響き渡る。慌てて父さんがキッチンに駆けつける。
「どうしたんだ!?」
母さんは指先の1センチ程度の切り傷から出血するのを震えながらティッシュで押えていた。
「私、もうダメかもしれないわ…。」
倒れそうになる母を父は支えて救急車を呼んだ。
僕は母さんが死ぬんじゃないかと心配になり泣き出してしまった。
救急車には搬送を断られ、父は焦って車を出した。僕もついて行った。
病院までの道中、ラジオから「さよなら〜忘れないわ〜大好きな人〜…」と巷で流行りの曲が流れてくると、父は泣くのを堪えた。病院に着き、診察までの待ち時間、ふと窓の外を見ると、枯れ木に残った1枚の葉が風で飛ばされるところだった。母は自分もこれまでかと嘆き始めた。
医者は笑って言った。
「繊細なのはキャベツの千切りだけにしてください。」
「キャーー!」家中に叫び声が響き渡る。慌てて父さんがキッチンに駆けつける。
「どうしたんだ!?」
母さんは指先の1センチ程度の切り傷から出血するのを震えながらティッシュで押えていた。
「私、もうダメかもしれないわ…。」
倒れそうになる母を父は支えて救急車を呼んだ。
僕は母さんが死ぬんじゃないかと心配になり泣き出してしまった。
救急車には搬送を断られ、父は焦って車を出した。僕もついて行った。
病院までの道中、ラジオから「さよなら〜忘れないわ〜大好きな人〜…」と巷で流行りの曲が流れてくると、父は泣くのを堪えた。病院に着き、診察までの待ち時間、ふと窓の外を見ると、枯れ木に残った1枚の葉が風で飛ばされるところだった。母は自分もこれまでかと嘆き始めた。
医者は笑って言った。
「繊細なのはキャベツの千切りだけにしてください。」
その他
公開:20/04/28 02:48
更新:20/04/28 04:29
更新:20/04/28 04:29
〇〇家族
夜野 るこ と申します。
(よるの)
皆さんの心に残るようなお話を書くことが目標です。よろしくお願いします。
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