サブリナ・ローズ

6
7

情熱的な赤い瓶に、煌びやかなストーンが散りばめられている。香水『サブリナ・ローズ』は甘くて芳醇な香り。
「勝!」
デートの待ち合わせ場所ではすでに彼が私を待っていた。彼の腕を取ると肩に耳を寄せた。
「美晴、俺の好きな匂いする」
「碧のこと忘れるって約束してね?」
「もちろんだよ」
この香水は親友の碧がフリマアプリで買ったもの。
「これ、殺された女性が使っていたっていう呪われた香水じゃん。使った人は皆死んじゃうって……」って私が一言言ったら、碧は青くなってすぐにアプリで売ってしまった。
もちろんそんなの、嘘だよ嘘!
私がすぐに買っちゃった。これで勝も私に夢中になってくれる。碧から、勝がこの匂いが好きって聞いていたからね。
その時、着信が鳴った。知らない番号だ。
「その香水、私のだから返して」
碧の声だった。
「碧なの?」
「ううん、私、サブリナ」
勝の着信が鳴る。
「碧が今、死んだ……?」
ホラー
公開:20/04/27 11:33
更新:20/05/08 09:11

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容