最終電車

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「なぁ、あいつなんて言ってた?」

「さぁ、知ってても教えねぇよ。」

「なんだよそれ…」

飲みかけのホットコーヒーはとっくに冷めきっていた。

ひと学年たった11人の小さな学校だった。

町を走る一本の単線。

東京へ向かうのも、市街地へ行くのもこの電車しかない。

「そういえばお前のこと、いつだって最後の最後まで決められない優柔不断な男だって言ってたな。」

「なんだよそれ…」

東京の大学も考えなかったわけじゃない。

ただ、特別やりたいことがあったわけでもなかった。

結局、親の勧めで市内の親戚の仕事を手伝うことを決めた。

それから5年が経つ。

「今も変わってねぇぞ。」

「何がだよ。」

「電車だよ電車。のぼりはもう次が最後だ。」

カランコロン…

「どうするの?わたし乗っちゃうよ?」

「お前らも昔っから変わらねぇな。」
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公開:20/04/27 15:57

タカハシ( 日本 北陸 豪雪地 )

はじめまして。
板前をしながら書いています。
初心者なので、アドバイスや感想など聞かせていただけたら嬉しいです!

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