古代人の死生観

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 アテナイの賢者ソロスは、エジプト王に客人として招かれた。王は問う。
「そなたの知る、この世界で一番幸せな人間は誰か?」
 ソロスは、幸せとは名誉ある死のことである、と言った。
「私の知る中で、最も幸福であったのは、テロスという男です。豊かな国に生まれ、子孫にも恵まれました。しかし何よりも死に際が立派でした。隣国との戦争で、味方の急援に赴き、敵を敗走させて、その後に戦死を遂げました。大変に名誉なことです」
 次に、クレオビスとビトン兄弟の名を挙げた。
「この兄弟は、ヘラ女神の祭礼のために母を牛車で連れて行こうとしました。しかし、牛が畑に出て間に合いそうになかったので、兄弟が牛代わりに車を曵き、45スタディオン(約8km)を走破し、祭礼に間に合いました。そして兄弟は力尽きて死にました。母は息子たちの名誉ある死を喜び、人々は彼らの立像を作って、神へ奉納しました」
 なんと幸福なことでしょう。
その他
公開:20/04/25 22:52
ヘロドトス『歴史』より 私が勝手に一部を要約しました 古代人の感覚に カルチャーショック 現代とは常識が違う

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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