Ⅰ.010 壁にめり込んだ男~要求~

0
2

「代金ですか?」
「前払いですよね。当然支払いはしたでしょ?」
「ええ、まぁ」
 わたしの鼻がざらついたものを感じ始めた。
「被害者の所持品は全て調べておきたいので、用意してもらえますか?」
「ですがお札ですから、どれが彼のかは」
「大丈夫です。とりあえず今ある分を出してもらえれば」
「え、全部ですか?」
「お願いします」
 主人の有無を言わせぬ態度に観念したか、男はレジスターへと向かった。
―ッーーン
 ドロワーの陽気な音が店内に響いた。
「その奥がランドリーですね?」
「え?!ええ。そうです」
 受付を覗き込んだデニさんが奥のドアを示す。聞きつつも刑事が注視してるのは、現金を取る男の手元だった。ほんと彼はいい援護をしてくれる。
「こ、これで全部ですが」
 ラウンジのテーブルに数十枚の紙幣が並べられた。少額紙幣が中心でそれなりの量だ。
「いけそうか?」
「ニール」
「わん」余裕だ。
ファンタジー
公開:20/04/25 21:18
ファンタジー 連載 探偵

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容