満ちる

恋愛に奥手な僕を心配して友人が合コンを開いてくれた。
「お前の好みに合わせてみたんだがどうだ？」
うん。皆、凄く好みだよ。でもやっぱりダメ…僕は自分に自信がない。
「そうか…出来ればこの手は使いたくなかったんだけど仕方ない！これを飲め！」
何これ？
「ヤル気ールロワイヤルだ。これを飲めばやる気に満ち溢れる」
結局はお酒の力か…まあ、キールロワイヤルは好きだからいいけど。
…ん。これ美味いな。胸の奥から熱いものが込み上げてくる感じがする。
今すぐ行動を起こしたくてたまらない！僕の中にやる気が満ちる！
その後の合コンは凄く盛り上がり、僕はそこで仲良くなった女性とお付き合いする事になった。
折角だし車で送っていくよ。大丈夫。少ししか飲んでいないんだから。
『で、事故を起こしたと』
警察官を前に僕は項垂れる。近くに停まった救急車に彼女が担ぎ込まれる。
酔いが覚め、僕の顔は赤から青に変わっていた。