贈ワイン

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「ではこちら、受け取ってください。その代わり……よろしくお願いしますよ」
「分かりました」
 相手が差し出した分厚い封筒を受け取ると、相手は礼をして事務所から出た。
「ふぅ、こいつのおかげで接待は順調だ」

 私が手に持っているのは「贈ワイン」。飲んだ相手が手土産を持って契約したくなる、つまり贈賄したくなるワインだ。
 最初に手に入れた時は眉唾物だったが、こうして高額案件をいくつも取れているので重宝している。先ほどの相手も、建設会社の社長だ。不正入札の案件でリスクはあるが、これで取引が円滑になるなら安いものだ。

「ただいま、今日も高額案件取ってきたよ」
「お疲れ様、お食事でもどう?」
 テーブルには豪華な食事が準備されていた。ステーキにサラダに、うまいワイン……え、これは……

「さてあなた、明日は何をプレゼントしてくれるのかしら?」
 妻に贈賄する旦那がいるか!
SF
公開:20/04/26 14:30

フィーカス

短編掌編をよく書いています。
時々何かに入賞したりします(2回)。
わけのわからない世界観を生み出したいです。

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