地域物産展

　あるショッピングセンターの入り口で、期間限定の地域物産展をやっていた。
　若く元気そうな女性が健気に試食を勧めてくるので、こちらもつい心が和んで、一口頂くことにした。「お、意外と美味しいね」などと、ちょっと彼女の喜びそうな言葉を口にすると、とびっきりの笑顔で「ありがとうございます！」の声が返ってくる。気持ちがいい。せっかくだからもう少しこの商品のことを聞いてみようか、などと気配を窺わせると、すぐに彼女は後ろに目線を送る。すると、もう一人の中年女性店員がさっと前に出てきて、商品の豊富な知識を披露しはじめる。いかにも人生経験豊富そうな語り口で、気がつくと購買意欲が湧いていた。
　会計を済ませると、私の隣では別の男性客が試食を始めていた。私と全く同じパターンで、途中からベテラン女性と入れ替わり、商品が売れた。いやはや見事な連携プレイである。次から次へと客がくる。この二人は誠に商売の天才である。