いつも一緒

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ママが死んじゃった。
入学式には来てくれる約束だったのに。なんでママは病気になっちゃったんだろう。なんで純菜のママだけが死んじゃったの。唇をかんで上を向いて涙がこぼれないようにする。今夜はパパに内緒で、ママが元気だったころよく一緒に来た丘の上に来た。いつもみたいにお星さまは綺麗に光っている。みんな、ママはお空のお星さまになったって言う。そんなのちっとも嬉しくない。純菜はママとお話したい、ママの声が聞きたい、ママにぎゅってしてもらいたい。
「純菜のママの居場所、知ってるよ」
突然後ろから声がしてびっくりして飛び跳ねた。
「……誰?」
「天使だよ。純菜のママはここにいる。あの星よりもきれいに光ってる」
天使は純菜の胸を指さした。
「じゃあ、ママは純菜のそばにいつも一緒にいるの?」
「そうだよ。いつも一緒」
天使は強く光ると、ぱっと消えた。
こんなにそばにいる。ママは純菜の胸の中の一番星なんだ。
その他
公開:20/04/24 23:14
更新:20/04/25 22:02

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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